専門家による記事
アジア各国でのベンゾジアゼピン(抗不安薬・睡眠導入薬)の使用状況とその副作用について #1
“In the COVID-19 era the availability of online CBT programs for such conditions has proliferated”
#これまでのキャリアについて教えてください。
シンガポール軍の奨学金を得てシンガポール国立大学医学部を卒業しました。卒業後はシンガポール軍の心理治療部門の責任者として従事し、全ての入隊者とスタッフに精神科的治療を提供しました。
わたしは医学部在学中にイーライリリーのゴールドメダル、大学院在学中にシンガポール精神科協会書籍賞を受賞しました。これまでに50以上の査読雑誌に論文を発表するなど、研究と教育に力を入れてきました。シンガポール国立大学Yong Loo Lin医学部(2019年世界大学ランキングでアジア首位)、デューク大学-シンガポール国立大学医学部及び南洋理工大学Lee Kong Chian医学部で精神医学の非常勤講師を務めています。ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のBlack Dog研究所及びトロント西病院で神経刺激法と研究のトレーニングを受けました。現在は、シンガポールの精神医学研究所で神経刺激部門の責任者をしています。
#シンガポールの精神科医療の特徴を教えてください。
シンガポールの精神科医療は大きくは3つのグループに分けられます。精神科医の1/3は精神医学研究所に務めています。これは病床数1900の第三次精神科病院です。別な1/3は7つの総合病院の精神科で勤務しています。残り1/3が個人クリニックで勤務しています。精神科医療は基本的には病院やクリニックで行っていますが、地域で精神科医療を行うという努力がますます増えています。
#精神科医療の受診には何かルールがありますか?例えば、最初から第三次病院には受診してはならないなど。
患者さんは一般開業医から紹介をうけるか、あるいは精神科個人クリニックを直接受診することもできます。
#地域精神医療に向けた努力とはどのようなものですか?
過去15年間で3つの青写真がありました。最初は病院に根差したサービスです。2つ目は地域精神医療チームの開発をサポートすること、そして三つ目は、精神科症例を一般開業医と精神科医が一緒に治療できるような地域に根差したパートナーシップの奨励です。

Phern Chern Tor
著者サイト
https://scholar.google.com/citations?user=nsIe0BgAAAAJ&hl=en
肩書
psychiatrist
所属
シンガポール国立大学 Yong Loo Lin 医学部、デューク大学 シンガポール国立大学医学部及び南洋理工大学Lee Kong Chian医学部
紹介文
Tor先生はシンガポール国立大学を卒業後、シンガポール軍の心理治療に従事しつつ数多くの論文を発表されています。シンガポールはベンゾジアゼピンの処方に特に厳しい国ですが、Tor先生はアジアの研究者としてシンガポール国内だけではなく日本を含めた外国の研究者と共同でベンゾジアゼピンの国別使用状況の研究もされています。今回はTor先生がRestbestのためにこれまでの研究のまとめやベンゾジアゼピンとz薬の副作用について語ってくれました。