専門家による記事
精神疾患とスティグマ #4
2020年12月14日
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“スティグマの難しいところは、本質的な問題が自分自身ではなく、社会構造の内部や他者の内面にあるところです”
#スティグマを向けられた時、私たちはどうしたらいいでしょうか?
もし、私自身が精神疾患をもち、私自身にスティグマを向けられたときにどのように対処するとよいのでしょうか?この答えはとても難しいですが、私が自分自身でできることは、そのような場を離れることだと思います。スティグマの難しいところは、本質的な問題が自分自身ではなく、社会構造の内部や他者の内面にあるところです。よって、スティグマを向けられた個人が独力で解決することは難しいことが多いと思います。この構造はいじめと共通するところもあるかもしれません。
逆に私にとっての大切な誰かが、精神疾患を持ってスティグマを向けられたときはどうでしょうか?そのような時、私は「精神疾患を持つことは珍しいことではない」と伝えるかもしれませんし、「一緒にご飯を食べに行こう!」というかもしれません。あるいは一緒に病院に行くかもしれません。他の疾患に患った時と同様に相手を心配しますし、それまでの関係も継続します。つまり、特別なことはしないと思います。もちろん、精神疾患の症状が悪い時(例えば、極度のうつ症状で家から出られない)は、いつものように接することができないこともあるかもしれません。それでも「いつでも連絡して」と伝えてみたり、たまに「元気?」とLINEを送ってみたりするかもしれません。言い換えると、大切な誰かが精神疾患を持って、スティグの対象となった時、私たちはその人が「一人じゃない(孤独じゃない)」と感じることができるようにちょっとだけ支えることが重要な気がします。