専門家による記事
自分の感情・行動をコントロールする(自己制御) #3
「マインドフルネスに基づく介入は内受容を介して感情制御の最も効果的な手段である」
#台湾はベンゾジアゼピンの処方量が日本と比べて少ないと知られています。日本では明らかにベンゾジアゼピンを過剰処方しているのです。不幸なことに、治療時間短縮のためにベンゾジアゼピンを簡単に処方する医師がいるとまで言われています。さらにこういった薬は実際は精神科を専門としない医師から処方されるのです。ベンゾジアゼピンやZ薬の処方について台湾ではルールや規制はありますか?
実際のところは、台湾でもZ薬やベンゾジアゼピンはいくらか過剰に処方されています。2017年には、430万人に対して、9億錠の鎮静薬(Z薬とベンゾジアゼピンの合計)が処方されました。その年の台湾の人口は2370万人でした。精神科医は33%しか処方しておらず、12%は一般開業医、10%は内科医となっています。この処方数は、これらの全ての薬剤は管理薬物に分類されるという規制がかかった上で行われていることなのです。同時に、精神科医ではない内科医は一度に1錠しか処方できません(一般的な容量です。例えば、ゾルピデム10mgなど)。この高い処方量は台湾の患者は処方を受けないと治療されたと思わないことによるのではないかと考えています。患者の中には、自分ではなく友達や家族の処方も希望します。

Hsiang-Yuan Lin (林祥源)
著者サイト
https://scholar.google.co.uk/citations?user=QqQ-HVQAAAAJ&hl=en
肩書
MD
所属
トロント大学精神科
紹介文
Hsiang-Yuan Lin先生は国立台湾大学を卒業後、Molecular Psychiatry誌をはじめとした精神科トップジャーナルで論文を発表されています。現在はトロント大学精神科で臨床科学者として勤務されています。ご専門は発達障害当事者の脳画像ですが、特に薬物介入やRDoC的アプローチを取られていることで知られています。今回はLin先生が関心のある自己制御を中心にインタビューに答えていただきました。また隣国ということもあり台湾と日本の医療システムの違いについても話していただきました。