専門家による記事
自分の感情・行動をコントロールする(自己制御) #5
「マインドフルネスに基づく介入は内受容を介して感情制御の最も効果的な手段である」
#Lin先生が感情制御をする上で効果的だと思う方法を教えてください。
感覚と複数の皮質レベルの監督の相互作用的なコミュニケーションを用いた内受容こそが感情の経験と制御の中心であると私は考えています。したがって、私は、効果的な感情制御ストラテジーは内受容処理、特に内受容の気づきと関連があると思っています。内受容の気づきは、内なる感覚の処理を利用して自分自身に意識的に気づきを向けることを可能にします。
訳注:内受容(interoception)とは、胃・肺・心臓など内臓の感覚に関する情報を提供する感覚のこと。胃の感覚に意識を向けると、お腹が空いている、という基本的な感情を正確に理解できるようになります。そういった原始的な感覚から欲求や感情に気づくことが感情を制御する根底をなすという意見です。
例えば、マインドフルネスに基づく介入、例えばマインドフルネス的認知療法や弁証法的認知療法は良い例だと思います。

Hsiang-Yuan Lin (林祥源)
著者サイト
https://scholar.google.co.uk/citations?user=QqQ-HVQAAAAJ&hl=en
肩書
MD
所属
トロント大学精神科
紹介文
Hsiang-Yuan Lin先生は国立台湾大学を卒業後、Molecular Psychiatry誌をはじめとした精神科トップジャーナルで論文を発表されています。現在はトロント大学精神科で臨床科学者として勤務されています。ご専門は発達障害当事者の脳画像ですが、特に薬物介入やRDoC的アプローチを取られていることで知られています。今回はLin先生が関心のある自己制御を中心にインタビューに答えていただきました。また隣国ということもあり台湾と日本の医療システムの違いについても話していただきました。