専門家による記事
自分の感情・行動をコントロールする(自己制御) #7
2021年1月30日
会員限定
「マインドフルネスに基づく介入は内受容を介して感情制御の最も効果的な手段である」
# 先生のこれからの研究の方向性について教えてください。
自閉スペクトラム症の当事者(あらゆる知能水準で)の方で、自己制御について次世代の治療法とそのメカニズムを発見することが私のキャリアの目標です。このゴールのために、私はいくつもの臨床研究を行い、内受容システムの調整をする物質に関して薬物療法と脳画像を合わせたアプローチをとるつもりです。また、計算論的精神科アプローチを用いる計画もあり、そこでは脳の回路、認知、行動、身体、薬物的操作を含むマルチレベルを統合し、発達障害当事者の方の攻撃性を説明する新しいメカニズムを研究したいと思っています。この研究でもやはり内受容の処理に焦点を当てる予定です。

Hsiang-Yuan Lin (林祥源)
著者サイト
https://scholar.google.co.uk/citations?user=QqQ-HVQAAAAJ&hl=en
肩書
MD
所属
トロント大学精神科
紹介文
Hsiang-Yuan Lin先生は国立台湾大学を卒業後、Molecular Psychiatry誌をはじめとした精神科トップジャーナルで論文を発表されています。現在はトロント大学精神科で臨床科学者として勤務されています。ご専門は発達障害当事者の脳画像ですが、特に薬物介入やRDoC的アプローチを取られていることで知られています。今回はLin先生が関心のある自己制御を中心にインタビューに答えていただきました。また隣国ということもあり台湾と日本の医療システムの違いについても話していただきました。