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英国における睡眠治療と認知行動療法について #2

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Although medications can be helpful, the treatment for which there is strongest evidence is CBT-I

もう一つの一般的な睡眠障害は睡眠時の呼吸の問題です。閉塞性睡眠時無呼吸と呼ばれ、人口の1~4%の有病率と考えられています。睡眠の間、私たちの口や首の筋肉は弛緩します。中には、一時的に気道が閉じられてしまう人がいます。その結果、息が詰まって目が覚めます。こういったことは一晩に数回起こります。こういった問題が起これば、日中本当に眠くなり、医療の介入が必要になります。他にもむずむず脚症候群の患者さんも診察します。むずむず脚症候群は眠りに落ちるのを妨げるのです。この症候群では、不快で、落ち着かない感じが脚に起こります。歩いたり動かしたりするとよくなりますが、こういった症状は睡眠の時間に向かうにつれて悪化するのです。

他の、あまり一般的でない疾患には、概日リズム障害や睡眠時随伴症があります。概日リズム障害の人はとても遅くに眠りとても遅くに目を覚ます、あるいは睡眠をとても早くに取りとても早くに目を覚ますという生活を一貫して続けます。しかし、この診断の人たちは自分の好みの時間に眠ることには問題がないのです。睡眠時随伴症には、悪夢あるいは歩き出しや夢で見ていることを実際に行動に移すといった睡眠時の異常な動きが含まれます。

最後に、現代社会では私たちは自分たちの睡眠を軽視する事が非常に一般的であるということに留意する事が非常に大切です。仕事、通勤、家事と私たちには時間が必要です。しばしば、眠りたい時間よりも遅くにベッドに行き、アラームを使って早くに目を覚まします。こうすることで、私たちは日中しばしば眠気を感じ、集中することが困難となり、気分がふさぎこむということを意味します。私が強調したいキーポイントは、これは睡眠障害ではなく、むしろ現代的生活の当然の結果なのです。良質な睡眠は健康な生活に必要不可欠であるということを皆さんが心にとめておくように強くお勧めします。睡眠にはその重要性に見合った注意を向ける必要があります。毎回必ず完璧な睡眠をとれる人はいません。しかし、良質な睡眠は毎日のように取ることができますし、私たちをリフレッシュさせ、一日を通して効率的に機能させてくれます。それも、カフェインなどの神経作動物質を必要とせずに、です。

Nicholas Meyer

Nicholas Meyer

著者サイト

https://scholar.google.com/citations?user=FC_5Y6QAAAAJ&hl=ja

肩書

Consultant Psychiatrist in Behavioural Sleep Medicine

所属

Royal London Hospital of Integrated Medicine, London, UK

紹介文

Meyer先生はオックスフォード大学医学部卒業後、オックスフォード大学で研修医を修了しました。その後は英国のMaudsley病院で睡眠の臨床を行い、キングス・カレッジ・ロンドン精神医学・心理学・神経科学研究所で睡眠の研究に携わってきました。
英国での睡眠治療方針は日本とは大きく異なり、日本よりも薬に頼らない方法を重要視しています。英国の睡眠専門医が睡眠に対する治療の考え方と今後の研究の方向性をRestbestに語ってくれました。