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英国における睡眠治療と認知行動療法について #3

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Although medications can be helpful, the treatment for which there is strongest evidence is CBT-I

# 睡眠障害にはどのような結果が関連していますか?

不眠症の人はしばしば、仕事などの集中力の低下を訴え、しばしば日中の疲れを感じます。気分の落ち込みや不安、感情のコントロールの問題を経験する方も多いです。全体として、不眠症と生きている人は、不眠症が生活の質(QOL)と日中の活動性に悪影響を与えると感じます。さらに、慢性的な不眠症は抑うつ、不安やほかの精神疾患を発症するリスクも増加させることが知られています。

患者さんの中には不眠症に罹患することがのちの人生で認知症や他の脳の病気の原因となることを心配しています。しかし、不眠症は非常にストレスフルであるものの、不眠症が長期的なダメージを脳に引き起こすというエビデンスはほとんどありません。

閉塞性睡眠時無呼吸は血圧と心拍数、それに日中の眠気の結果の事故という問題を引き起こします。このため、閉塞性睡眠時無呼吸があるかもしれないと考えている人は、主治医とよく話しあうことが重要です。

 

#不眠症の方の治療にはどのようなものがありますか?

不眠症には二つの治療法があります。一つは薬物療法でもう一つは、心理療法で不眠症のための認知行動療法(CBT-I)といいます。

一般的に服用される不眠症に対する治療薬は入眠時に内服し、睡眠を促す経路を強化することより効果を発揮します。一般論として、これらの薬物は不眠症に対する短期間のしのぎとして処方されますが、一部の患者さんはこれを長期間使用します。抑うつや不安がある人にとっては、鎮静効果のある抗うつ薬の使用が不眠症を軽減することができます。これらのすべての薬剤には副作用があります。その中には、翌日の鎮静や認知の問題も含まれます。

Nicholas Meyer

Nicholas Meyer

著者サイト

https://scholar.google.com/citations?user=FC_5Y6QAAAAJ&hl=ja

肩書

Consultant Psychiatrist in Behavioural Sleep Medicine

所属

Royal London Hospital of Integrated Medicine, London, UK

紹介文

Meyer先生はオックスフォード大学医学部卒業後、オックスフォード大学で研修医を修了しました。その後は英国のMaudsley病院で睡眠の臨床を行い、キングス・カレッジ・ロンドン精神医学・心理学・神経科学研究所で睡眠の研究に携わってきました。
英国での睡眠治療方針は日本とは大きく異なり、日本よりも薬に頼らない方法を重要視しています。英国の睡眠専門医が睡眠に対する治療の考え方と今後の研究の方向性をRestbestに語ってくれました。