専門家による記事

英国における睡眠治療と認知行動療法について #4

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Although medications can be helpful, the treatment for which there is strongest evidence is CBT-I

薬物療法は助けとなりますが、最も強いエビデンスがある治療法は不眠症に対する認知行動療法(CBT-I: Cognitive Behavioural Therapy for Insomnia)です。CBT-Iでは患者が不眠症をコントロールする自分自身の”ツールキット”を開発するのです。そうすることで不眠症患者の80%は改善に至ります。

CBT-Iは通常5つのセッションから構成されます。一対一の場合もグループの場合もあります。最初のセッションでは睡眠および睡眠がどのように体で制御されているかそしてどのように睡眠日記をつけるかを患者に教育します。次に睡眠衛生と刺激コントロール(寝室は睡眠のためだけに使う)および睡眠のスケジュールを組み直すといった含むセッションを行います。これらは、直感に反して全就寝時間を減らします。CBT-Iの重要な要素は、睡眠前後の不安と覚醒を減らす技術を開発し、こころを穏やかにすることです。

CBT-Iにはほとんど副作用はありません。しかし、一般論として、すぐに患者を助けるという治療ではありません。一部は骨が折れ、持続的なモチベーションを必要とします。時には患者は睡眠が悪化したと初期に感じますが、そのうちに改善します。私たち睡眠の専門家が患者に協調するのは、CBT-Iを通して今夜の睡眠ではなく数か月、数年後の睡眠をたすけるためのスキルのレパートリーを学んでいるということです。

Nicholas Meyer

Nicholas Meyer

著者サイト

https://scholar.google.com/citations?user=FC_5Y6QAAAAJ&hl=ja

肩書

Consultant Psychiatrist in Behavioural Sleep Medicine

所属

Royal London Hospital of Integrated Medicine, London, UK

紹介文

Meyer先生はオックスフォード大学医学部卒業後、オックスフォード大学で研修医を修了しました。その後は英国のMaudsley病院で睡眠の臨床を行い、キングス・カレッジ・ロンドン精神医学・心理学・神経科学研究所で睡眠の研究に携わってきました。
英国での睡眠治療方針は日本とは大きく異なり、日本よりも薬に頼らない方法を重要視しています。英国の睡眠専門医が睡眠に対する治療の考え方と今後の研究の方向性をRestbestに語ってくれました。