専門家による記事
英国における睡眠治療と認知行動療法について #5
Although medications can be helpful, the treatment for which there is strongest evidence is CBT-I
# 不眠症の人にとってマインドフルネスは効果があるとおもいますか?
はい。不眠症の治療にマインドフルネスが効果的であるというエビデンスがあります。実際に、CBT-Iで使われている技術の一部はマインドフルネスに関連しています。不眠症に至る中核的な要因の一つは睡眠に関する心配です。したがって、ノイズのあるこころを静かに穏やかにする技術を培うことは不眠症の人にとって効果的なのです。ヨガやほかの穏やかな運動をすることが効果的という人もいます。
# 香りや音といった感覚は睡眠障害を持つ人にとって有効だとおもいますか?もしそうであれば、どのように機能するとおもいますか?
この質問についての膨大な研究があるわけではありませんが、私ははこれまでに心を落ち着ける音楽を聴いたりラベンダーオイルを枕に置いたりするなどの療法が睡眠を促進すると考えている人をみてきました。前述のとおり、穏やかで睡眠を受け入れる環境を作り活動的な脳を穏やかにする技術が睡眠の問題を改善します。
もちろん人と好みによりますが、わたしは一般的に感覚を利用したアプローチを薬物療法やCBT-Iといった治療にくわえることをお勧めします。
# 睡眠障害を持たない人も、マインドフルネスやリラクゼーションといった、非薬物療法の恩恵をうけるとおもいますか?
とてもそう思います。仕事のプレッシャー、インターネット、email、携帯電話などの通信機器といった現代的な生活は人を打ちのめしているとおもいます(overwhelming)。これに直面して、私たちはみな、どのような道筋であったとしても、落ち着きや静けさをみつける自分自身の方法をみつけることが重要なのです。私はヨガを取り入れています。その中には瞑想やマインドフルネスに基づいたものが含まれます。ほかの人にと手は、楽器を演奏したり、読書したり、ほかのリラックス技法がこれに相当するでしょう。

Nicholas Meyer
著者サイト
https://scholar.google.com/citations?user=FC_5Y6QAAAAJ&hl=ja
肩書
Consultant Psychiatrist in Behavioural Sleep Medicine
所属
Royal London Hospital of Integrated Medicine, London, UK
紹介文
Meyer先生はオックスフォード大学医学部卒業後、オックスフォード大学で研修医を修了しました。その後は英国のMaudsley病院で睡眠の臨床を行い、キングス・カレッジ・ロンドン精神医学・心理学・神経科学研究所で睡眠の研究に携わってきました。
英国での睡眠治療方針は日本とは大きく異なり、日本よりも薬に頼らない方法を重要視しています。英国の睡眠専門医が睡眠に対する治療の考え方と今後の研究の方向性をRestbestに語ってくれました。