専門家による記事

自分の感情・行動をコントロールする(自己制御) #1

「マインドフルネスに基づく介入は内受容を介して感情制御の最も効果的な手段である」

#これまでのキャリアを教えていただけますか?

2020年1月からカナダのオンタリオ州のトロントにあるトロント大学の精神科の助教と依存症と精神医療のためのセンターの成人精神科と成人発達障害部門の教員をしています。同時にアズリエリ成人神経発達センターの臨床科学者です。

私は国立台湾大学医学部を2007年に卒業し、高淑芬(Susan Shur-Fen Gau)教授の指導のもと国立台湾大学病院で成人と小児思春期精神科のレジデントトレーニングを修了しました。その後、オーストラリアのブリスベンにあるQIMR Berghofer Medical Research Instituteで高度な脳画像手法とシステムニューロサイエンスについての研究トレーニングを受けました。カナダに来る前は、国立台湾大学で助教をしていました。

臨床科学者として、臨床的には私は発達障害を専門にしています。過去5年間、発達障害の特徴をよりよく理解するために、複数の脳画像を組み合わせて計算論的手法に私は研究の焦点を当ててきました。発達障害の中でも、特に自閉スペクトラム症と注意欠如多動症の異種性を解読し、エンドフェノタイプ(注:遺伝的脆弱性)とレジリエンス(注:ストレスに対する強さ)を調査し、脳刺激治療や薬物療法のメカニズムを検討し、一生に渡る非定型的な発達についてより良い理解を提供することが主な目標でした。過去2年間は、自閉スペクトラム症の当事者の方でも知的障害がある方を対象としてきました。現在は、経頭蓋磁気刺激の自閉スペクトラム症当事者の脳の構造や機能に対する長期間にわたる治療効果に通黙しています。

Hsiang-Yuan Lin (林祥源)

Hsiang-Yuan Lin (林祥源)

著者サイト

https://scholar.google.co.uk/citations?user=QqQ-HVQAAAAJ&hl=en

肩書

MD

所属

トロント大学精神科

紹介文

Hsiang-Yuan Lin先生は国立台湾大学を卒業後、Molecular Psychiatry誌をはじめとした精神科トップジャーナルで論文を発表されています。現在はトロント大学精神科で臨床科学者として勤務されています。ご専門は発達障害当事者の脳画像ですが、特に薬物介入やRDoC的アプローチを取られていることで知られています。今回はLin先生が関心のある自己制御を中心にインタビューに答えていただきました。また隣国ということもあり台湾と日本の医療システムの違いについても話していただきました。