別の考えとは?

ヒトは事実を自分なりに解釈します。いつも自分の色眼鏡で世の中を見ているのです。あなたが、青いメガネをかけて世の中を見続けていたとします。その場合は意外にも自分では青いメガネをかけて世の中を見ているとは気づかないのです。

「別な考え」とは、自分なりの解釈とは違って、自分ではとっさには思いつかないような考えをゆっくり考えてみることを指します。自分の別な考えとか、自分ではない人の考えも言えるかもしれません。

青いメガネを外し、赤いメガネをかけてみてもいいかもしれませんし、できるだけ透明なメガネで見る努力をしてもいいかもしれません。また、あなた以外の人もみな青いメガネをかけて世の中を見ていると考えることは禁物です。人によって眼鏡の色はちがうのです。大切なことはいろいろな色眼鏡があるということをまずは認識することです。

この作業はとても重要ですが、簡単ではありません。

具体的にはどうすればいいでしょうか?

次の例で考えていきましょう。

出来事ととっさの考え: “今日あなたは友人Bに挨拶をしても返事をしてくれませんでした。あなたは、友人Bに嫌われていると思いました。”

これに対してどのように別な考えを探せばいいでしょうか?

1.自分以外の親しい人に、自分が今日経験したことが起こったとすれば、その人はどう考えるか、考えてみる。

もし、友人Cから「今日、友人Bには挨拶したら返事なかったんだ」と相談されたらなんとこたえますか?

2. 不確実なことを前提にしていないか考えてみる。

「友人Bに嫌われている」というのは明らかに不確実です。不確実なことをみつけたら、そのことはいったん考えずに距離を置きましょう。そうすると、上の例についての別な考えは「嫌われているかもしれないし嫌われていないかもしれないから放っておこう」ということになります。

3. 他の人から見て、事実ではないかもしれないことを探してみる。

あなたにとっては「友人Bは返事をしなかった」という出来事に見えましたが、もっと近くにいた友人Cには聞こえるような声の大きさで返事をしていたかもしれません。

4. お笑いのネタ風にオチをつけてみる。

友人Bが返事をしなかったのは、実は口の中に食べ物を含んでいたから、という風に多少無理やりでもオチをつけてみてください。

5. 自分の行動の良かった点を探してみる。

確かにどう考えても友人Bはあなたの挨拶を無視したとしか思えない時は、「それでも自分は挨拶したからエラいよね」と自分を褒めてあげましょう。